ここは剣と魔法のファンタジーの世界にあるエルフの森。
その昔、エルフは人間よりも優れた魔法技術を持っていたのだが、邪悪な魔王の手によって重度のジャンキーになる呪いをかけられてしまい、今では見る影もない。森にはヤク中が蔓延り、モンスターすら薬漬けになっているため危険極まりない場所だ。
そんな危険な森の中に一軒の家がある。家主の名前はジャンヌ・ダルク。
彼女はエルフ族の中でも一際マリファナが好きだった。
現在は仲の良いリリアンヌと共にヤクを密輸し生活をしていた。
「ああー! もうやってらんねぇ!」
ジャンヌが机の上にあったボングを叩き割った。ガラスの破片が飛び散る。
「どうしたんですか?」
向かいに座っていたリリアンヌが問うた。
手元には彼女が調合した大麻バターコーヒー置かれていた。この飲み物を飲むだけでトリップできる。
「最近村の方でも妙な噂が流れてやがんのよ」
「どんなですか? またオークが出たとかですかね?」オークとはゴブリンより二回りほど大きい亜人型のモンスターである。見た目の通り大雑把な性格をしており、力が強い以外は特に取り柄のない種族だが、繁殖能力だけは高いという厄介者だ。
エルフ達が面白半分で狩り続けたせいで最近ではめっきり姿を見せなくなったことから絶滅したのではないかと言われている。
「いやそれがさぁ……勇者が現れたらしいんだよ」
「へぇー…いつ頃現れたんでしょうね?」
「一週間前だってさ」
「えっ!?︎ それってヤバくないですか!?︎」
勇者といえば強大な力を持つ人間共の希望にして象徴だ。その存在が現れれば国を挙げて歓迎するのが常であるが……。
「ヤバイよなぁ〜ヤクの密売がやり辛くなるなぁ〜…」
「まあまあお酒飲みながら考えましょうよ」
そう言ってリリアンヌはグラスに焼酎を注いだ。
それから二人は日が変わるまで酒を飲んだ後眠りについた。
***
翌日二人が目を覚ますと家の外が何やら騒がしかった。
外に出るとそこには武装をしたエルフの一団がいた。
「野郎ども!!勇者をぶっ殺すぞ!!」
村長が檄を飛ばす。その手にはAK-47があった。
リリアンヌはそれを見て慌てて駆け寄った。
「ちょっちょっと待って!!一体何事なの!?」
「黙れ!勇者共のせいでクスリが売れねぇんだ!!だから殺す!!」
村長は持っていた銃床で思い切り殴りつけた。あまりの痛さに地面に転げ回るリリアンヌ。鼻から血が出ていたが、本人は気にする余裕すらなかった。
「お前も同罪だオラァッ!」村長はリリアンヌを殴り続けた。
彼女はシャブ中だ。話を聞くタイプでは無い。「落ち着い!話を聞いて!!」
必死に説得しようとするリリアンヌだったが、既に正気を失っている彼女に言葉が届くはずもなかった。
その後、村長は存分に暴力を振るい満足したのか、エルフ達村人全員を集めこう言った。
「これより我らは勇者を探す。見つけた者は報酬として金貨100枚!勇者を殺した者には金貨1000枚を与える!!」
『うおおおおおおお!!!』
皆が目を血走らせ銃を掲げて叫ぶ!!
『殺すぞ!殺すぞ!殺すぞ!!』
こうしてエルフの森では血に飢えたエルフの達よる勇者狩りが始まった。
「死ぬかと思った……」
ジャンヌに治療魔法で回復して貰いながらリリアンヌは呟いた。昨晩あれだけの騒ぎを起こしたにも関わらず、今は静寂を取り戻している。
「全く……どうしてあんな事をしてしまったんだ?」
「リリアンヌ……」
「なあに?」
「私思ったの、私たちが勇者を殺せば良いんじゃない?」
リリアンヌは頭を抱えた。コイツ本気で言っているのか?
「あのなぁジャンヌ相手は人類最強の男よ?」
「大丈夫だって、銃があればなんとかなる」ジャンヌはいつも通りの笑顔を浮かべた。
「ジャンヌ……貴女まさかそのライフル使ってやる気じゃないでしょうね?」
ジャンヌが持っている物は全長780mm重量14.5kgの対物狙撃ライフルであった。
「当たり前でだ!これなら絶対勝てる!」
リリアンヌは悩んだ。このバカや村長や村のエルフの達を止める方法を。
(何かいい方法はないかしら?)
「そうだ!」リリアンヌはポンっと手を叩いた。「どうした?」ジャンヌが聞いた。
リリアンヌはこの場にいる者達を集めるよう頼んだ。
数分後全員が集まった。
「おいリリアンヌこれはどういうことだ?」村長が尋ねる。
「みんな聞いて欲しいことがあるんです。勇者を狙撃し暗殺しましょう。」全員がざわつく。
(なんて良いアイディアなんだ!!)エルフ達は感心した。
「よし分かった。それで誰が勇者をを殺す?」
「それはもう決まっています。ジャンヌが50口径対物ライフルで狙撃します。」
ジャンヌ自慢のバレットM82A1対物狙撃ライフルであれば勇者も即死であろう。皆がリリアンヌを褒め称える。
「良し決定!早速準備に取り掛かるぞ!!」村長の一声で暗殺が決まった。
「本当にこれで良かったんでしょうか?」
リリアンヌは不安になった。しかし、今更止めるわけにもいかない、勇者を召喚したと噂がある帝国の法では麻薬はご法度。帝国に召喚された勇者はエルフの里を襲うだろう。勇者の暗殺は成功させねばならない。全ては村の為ヤクの為勇者を殺す。
「クッソどうなってんだよ!?︎」
勇者マサヨシ・ケントは苛ついていた。理由は簡単だ。自分がこの世界に来て一週間、ひたすら訓練ばかりだったからだ。この世界の文明レベルは低い。中世ヨーロッパといったところだろうか。
自分の武器は伝説の聖剣エクスカリバー。しかしその威力は凄まじく、下手すれば帝都ごと焼き払ってしまう恐れがあるため使用は禁止されていた。
毎日同じ訓練訓練訓練訓練訓練……マサヨシは嫌で嫌で仕方がなかった。「ああクソッ!やってらんねーよこんなの!!」
マサヨシは天に向かって叫んだ。
異世界転移特典で強力なスキルでも手に入れちゃったりするんじゃないかと期待していたがそんなことはなかった。
「まあいいか。とにかく今日でこの訓練所からおさらば出来るみたいだしな。」
勇者の訓練期間が終わり次第帝国に凱旋するという約束だった。
「確か明日が最終日だとか言ってたな……」
翌日、訓練所に兵士達が集められた。
「諸君!これより帝都へ帰還の儀式を執り行う!!帰還の儀式は3時間後だ!それまで解散!!」
『はっ!』一糸乱れぬ規律で兵士たちは上官に敬礼する。
上官の言葉と共に周りの兵士が次々と去っていく。
「さて俺も行くとするかな……」
マサヨシは荷物をまとめ始めた。
その時だ。
「勇者様!」一人の兵士が駆け寄ってきた。
「おう!なんだい?」
「実は陛下より言伝を預かっているのです。帝都へ凱旋の際には必ずこの鎧を着用するようにとのことです!」
兵士は勇者に赤い色の美しい刺繍の入った煌びやかな鎧を差し出した。「おお!こりゃすげぇ!!」
マサヨシは興奮し、鎧を着た。そしてそのまま部屋を出て行った。
「これより帝都へ帰還する!」隊長が号令をかけ兵士たちが歩き出した。勇者は先頭に立ち威風堂々と歩いていた。
「見ろよ!あの立派な鎧だ!!カッコイイ!!」
「流石勇者さまだなぁ……」
「見ろ!あの鎧!カッコいい!」
「あの人強いんだよな?なら魔王倒せるんじゃないか?」
兵士達は勇者を見て盛り上がっていた。そんな中一人の兵士が消えた事を誰も気が付かなかった。
《こちらの任務は成功した》手短かに無線機に告げたエルフの兵士…
《了解、至急現地から離脱せよ》無線機からの指示に従い森の中へ消えていった。
時は戻り、エルフの森の外れにある洞窟の中……
「よし、これで全員揃ったな……」
エルフ達が全員集まったことを確認したジャンヌは言った。
「なあジャンヌこれから何が始まるんだ?」
ジャンヌの友人であるマリファナ好きのドワーフスコットが尋ねた。
「ふふん!聞いて驚け!今から私達による勇者暗殺計画を始める!」
『おおおお!!』
エルフ達は歓声を上げた。
「それで?どうやって殺す?」
「まずは狙撃の準備だ。」
「狙撃?狙撃ってあの遠くの的を狙うやつか!」「そうだ!このライフルを使う!」
ジャンヌは巨大なライフルを取り出した。
全長780mm重量14.5kg、12.7mm弾を使用する対物ライフル"バレットM82A1"。
「これを私が使う!」ジャンヌはライフルを構えた。エルフ達は呆れた。
「お前が撃つのかよ!?︎」
「当たり前じゃないか!私の銃の腕を知らないのか?」
「知ってるけどよぉ……本当に大丈夫なのか?」
ジャンヌは自信満々に答えた。
「大丈夫大丈夫!任せてくれ」
(全く……本当にコイツ……)
こうして暗殺計画はスタートしたのであった……。
一方その頃、マサヨシ一行は馬車に乗り込んでいた。
「いよいよ凱旋だな!」
「それでは出発します」御者が言い馬を走らせた。勇者一行を乗せた馬車は帝都へと向かっていった……。
「良いか?まず帝都から1200m離れたこの山の中腹に狙撃班が待機する。」
ジャンヌが地図で示す。
「勇者が凱旋し門を150mほど通過したタイミングで狙撃する」
帝都の見取り図にポイントを書き込む
「スコットさんは凱旋門近くで勇者が来たら無線機で合図してくれ、赤い鎧を着ているから目立つはずだ、狙撃したらすぐに逃走しろ。」
「分かった」ドワーフは答える。
「では、作戦決行だ!」
「勇者様!そろそろ到着ですよ!」
「分かった!」
マサヨシは外に出て伸びをした。
「やっと着いたぜ〜!帝都まで長かったような……短かかったような……」
マサヨシは感慨深そうに呟いた。
「皆のもの!準備を始めろ!!」ジャンヌが指示を出した。
「「「はっ!!」」」
エルフ達は一斉に散った。
ドワーフのスコットは凱旋門の方を眺めていた。すると無線が入った。
《こちら狙撃班、配置に付いた》耳に装着したイヤホンから声が届く。異世界から召喚された道具に舌を巻く。
スコットは気を引き締めて返答する。
《こちら凱旋門、勇者はまだだ》
《了解、このまま待機する》
(さーて、勇者サマにはご退場願うとするかね)ジャンヌはニヤリと笑みを浮かべた。
「勇者様!もうすぐ帝都です!」
「おう!楽しみだなぁ!」
勇者マサヨシは浮かれていた。勇者らしく凱旋用の豪華なチャリオットに乗るからだ。
チャリオットを引く軍馬も屈強な体躯で見るからに勇者らしいサラブレットだ。
軍馬に引かれたチャリオットに乗り民衆に手を振り声援に答える。
凱旋門をくぐり少し進んだところで突如勇者の胴体が真っ二つに爆ぜた。
胴体と下半身が爆ぜ、二つに分かれた胴体が民衆の目の前で地面に放り出された。
辺りは静まり返っていた…「え……?」
誰かが漏らしたその言葉を皮切りに悲鳴が上がった。
「きゃあああ!!」
「ゆ、勇者さまあ!!?」
「何が起こったんだ!?︎」
マサヨシの上半身が地面に叩きつけられ血溜まりを作る。マサヨシの下半身が崩れ落ち地面に投げ出され血溜まりを広げる。
「勇者様が……死んだ……?」
「嘘だろおい!!何があったんだよ!」
「勇者が死んだぞおおお!!」
「そんなあぁぁ!!」
「どうしてぇぇぇ!!」
「嫌あぁぁぁ!!」
混乱する民衆の中一人の男が叫んだ。『神の裁きだ!』
『そうだ!勇者は裁きを受けたのだ!』『神の怒りに触れたのだ!!』
『やはり勇者召喚は間違いだったのだ!!』
『勇者は呼び出してはいけない存在なのだ!!』
『勇者は召喚してはならなかった!!』
『異世界からの勇者召喚は禁忌だったのだ!!』
次第にそれは伝播していき民衆は口々に叫び始めた。
[召喚を行った皇帝が悪い]
[勇者召喚は悪魔の禁術だった]
[禁術を使い神の怒りに触れた皇帝は退位せよ]
たった一言逃げる前にスコットが流布した『神の怒りだ!』から随分と尾ヒレが付き帝国は大混乱だった。
ジャンヌ達の勇者暗殺作戦は成功した。「よし!計画通り!あと逃げるだけだ!」
ジャンヌはマイクを手に取り言った。
《勇者暗殺成功!繰り返す!勇者暗殺に成功!》 エルフ達は歓喜の声を上げた。
「やったぜ!」
「俺達の勝利だ!」
「これでエルフの森は安泰だ!」
《エルフの森へ帰還する!》 《了解!》 ジャンヌ達はエルフの森へ帰還した。
エルフの森へ帰ってきたジャンヌ達はエルフ達に英雄として迎えられた。
「ジャンヌ!よくやってくれた!」
「ありがとうジャンヌ!」
「お前のお陰でヤクが今まで通り売れる!」「ジャンヌ!これからも頼むよ」
「任せてくれ!薬物はエルフの宝だからな!私達が守ってみせる!」
ジャンヌは胸を張って答えた。エルフ達はジャンヌを讃えながら酒を酌み交わしていた。
その様子をジャンヌの友人であるマリファナ好きのドワーフスコットは遠くから見ていた。
(アイツ……ついにやり遂げたな……)
スコットはタバコを混ぜたマリファナジョイントを吸い込み暗殺の成功を噛み締めた。
一方帝都ではマサヨシの葬儀が行われた。
葬儀には各国から多くの貴族が参列した。
「勇者マサヨシ殿……貴殿の勇気ある行動に敬意を表す」「勇者マサヨシ殿、貴方の魂は永遠に不滅であります」
などと勇者の死を悼む言葉を並べたが、内心では"ハズレ勇者が死んでせいせいした"と誰もが思っていた。
「陛下、お悔やみ申し上げます」
「う、うむ」
「勇者マサヨシは素晴らしい人物でした」
「そ、そうか」
「はい!彼の死を無駄にしないためにも我々は一致団結し魔王に対抗すべきです!」
「そ、そうじゃな……」
この男の名前はヨシュア・エレオノラ・フォン・ハーフェン。この国の宰相を務める人物である。
この男は事あるごとに自分の都合の良いように国を動かそうと画策する典型的な小物であった。そもそも魔王など今は居なかった。それは周知の事実だった。
そして宰相の独断政治とエルフ製のドラッグの蔓延、勇者の謎の死により帝国の秩序は徐々に崩壊を始めた。
ボコボコボコボコボコボコ……
「ふぅ……」
ジャンヌは自室にて愛用のボングでマリファナを一服していた。
ジャンヌは勇者の暗殺に成功した後、村長から勇者殺害の成功報酬金貨1000枚を貰いウハウハだった。毎日のマリファナのブランドもワンランク上の高級品種に変わったが、やる仕事は以前と同じなので生活そのものは余り変わらなかった。
コンッ! 扉をノックされた。
「入れ!」
ガチャリ 村長がいた。
「どうした?何かあったのか?」
「実は先日勇者様を殺った後、証拠隠滅のために帝都一帯を爆破したのだが、結構な数貴族が死んだぞ!!!」
村長は嬉しそうに語る。「なるほど、そりゃあ良かったじゃないか!」
「うむ!これで更にヤクを売れる様になる!大儲けだ!!」
「そ、そうなのか?」
「ああ、勇者が死んだ理由だって『神の怒りに触れた』と大騒ぎだ。自暴自棄になった奴らがヤクに群がってる。」
村はドラッグ特需の好景気に沸いていた。「しかし、勇者の死因は銃だ。怪しまれるんじゃないか?」
「大丈夫だ。勇者の死体はもう無い。それに勇者は神の怒りで死んだ。誰も疑わないさ。」
「そういうもんかね?」
「ああ。薬だが大幅に値段を上げる。」「分かった。」
「それからもう一つ頼みがある。」
「なんだ?」
「最近エルフの森への襲撃が頻繁に起こっているらしい。」
ジャンヌは察した。きっと異世界からの物資召喚が急務なのだろう。エルフは頻繁に異世界からあらゆる物資を召喚し調達していた。
武器弾薬は勿論、暗殺に使用した対物ライフルやロケットランチャーや無線機、果てはマリファナ喫煙用のライターに至るまで何でもかんでも召喚するのだ。無尽蔵とも言えるエルフの魔力の成せる技である。ジャンヌは思った。
(勇者の次は襲撃か)
ジャンヌは心が躍った。久々に愛用のカラシニコフを撃ちまくりたかった。
その後、数日間に渡りエルフ達は異世界から山のように大量の武器弾薬を召喚し調達した。
AK47・HK416・M16A1・89式小銃などなど強力な軍用アサルトライフルからブローニングM2重機関銃までも山のように積まれた。
地雷も数万発ある。地雷原を作る為だ。
RPG-7ロケットランチャーも忘れていない。手榴弾も山の様に積まれている。
これなら人間共がどれだけ攻めて来ても皆殺しに出来る。ジャンヌは確信した。
ジャンヌ達エルフは森で優雅な生活を送ってた。暇があればマリファナを吸い、里のエルフ達と人間狩りも楽しむ。まさにエルフの森は天国のような場所になっていた。
ジャンヌはエルフの森での生活は気に入っていた、最近はエルフ達の栽培しているマリファナのグレードが上がっていた。
異世界の品種改良されたマリファナの種を狙い召喚していたからだ。エルフ達はマリファナを栽培するとそれを乾燥させて、そのまま吸ったり、バターに溶かし込んだりした。
マリファナは一度加熱することで成分が変化し、主成分のTHCAが脱炭酸されTHCになり精神作用を引き起こすことから、エルフ達は嗜好品としてマリファナ食品を作り楽しんでいた。ジャンヌの趣味もマリファナを溶かしたバターから作る焼き菓子だ。このお菓子はエルフの間で手軽に摂取でき効果も強く長く効くととても流行っていた。
(今日も平和だ)
ジャンヌは自室でくつろいでいた。コンッ!とまた扉が叩かれた。
「どうぞ!」
ガチャリ 村長が来た。
「どうした?何かあったのか?」
「実は昨晩、帝国が崩壊した!!」村長は嬉しそうに語る。
「なるほど、そりゃあ良かったじゃないか!」
「うむ!これで更にヤクを売れる様になるぞ!!」「そ、そうなのか?」
「ああ、勇者が死んだ理由だって『神の怒りに触れた』と大騒ぎだ。自暴自棄になった奴らがヤクに群がってる。」
村では勇者の死よりも薬物の高騰で皆喜びの声を上げていた。
ボコボコボコボコボコボコ……
「ふぅ……」
ジャンヌは自室にてボングでマリファナを一服していた。
ジャンヌはエルフの森での暮らしは好きだ、人間を狩るのも楽しい。攻めて来た帝国兵に自慢のカラシニコフを撃ちまくるのも大好きだ。
ボコボコボコボコボコボコ……
「ふぅーーーー……」マリファナの濃い煙を吐き出す。
甘くフルーティー…喉越しも爽やか…ハイも強い…良いネタだ。
里で作ったマリファナとは思えないグレードだ。それどころかドワーフ族の高級マリファナより良い超ハイグレードだ。異世界でも最新の改良品種マリファナなだけある。
少し前に異世界の大麻種子銀行の存在を書物で知り精密召喚で種子を召喚して栽培に成功したのだ。
嫌いだった帝国も崩壊した。アホ勇者も死んだ。
自慢のカラシニコフも好きなだけぶっ放した。
大好きなマリファナもエルフの森で栽培出来るようになった。
帝国の崩壊と勇者の死亡で自暴自棄の人間共がヤクを求め村の景気は最高に良かった。
ボングにマリファナを詰め火をつける…
ボコボコボコボコボコ……
「ふーっ…」煙を吐き出す。またハイが深くなる。
「ああ、今日も平和だ…」
エルフの森は今日も明日も明後日もラヴ&ピース
-END-