おいでよ!エルフの森!

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おいでよ!エルフの森!

ここは剣と魔法のファンタジーの世界にあるエルフの森。

 


その昔、エルフは人間よりも優れた魔法技術を持っていたのだが、邪悪な魔王の手によって重度のジャンキーになる呪いをかけられてしまい、今では見る影もない。

 


「ふぅ……今日も疲れたぜ!」

 


そんなエルフの村の中で、一人の美少女エルフが芋焼酎を茶碗で飲み干しながら言った。彼女の名前は、リリアンヌ・ルフェーブル。

 


銀色の長い髪に青い瞳をした彼女は、このエルフたちのまとめ役である長老の孫娘だ。

 


彼女の趣味は『競馬新聞を読みながら酒を飲むこと』というとても残念な趣味の持ち主であり、そのせいか見た目こそ美しい女性なのに彼氏いない歴=年齢という悲しい現実を叩きつけてくる存在でもある。

 


ちなみにエルフは長命種なので、恋愛経験がない者は結構多い。

 


「ああ~! 明日からまた仕事なんてやってらんねぇよ」

 


リリアンヌはそう言って酒をグイッグイッっと呑み下す。するとリリアンヌの隣に座っていた金髪碧眼の美女が、彼女に言う。

 


「あんまり呑むんじゃねえよ、明日も朝から現場の見回りがあるんだかららな?」

 


彼女の名はジャンヌ・ダルク

 


病的な色の長い髪をした彼女もまたリリアンヌと同じ重度の薬物中毒にされる呪いを掛けられていた。しかしリリアンヌとは違い、性格は不真面目であるため、今の状況をなんとかしようと日々マリファナで現実逃避をするだけであった。

 


だがそれでも今の状況は改善されず、毎日のように増えるマリファナ代の借金から逃げるばかりであった。「えー? いいじゃねえかよ~。どうせ明日は休みなんだしよぉ……」

 


リリアンヌはそう言いつつ、焼酎のお代わりを要求している。ジャンヌは呆れつつも、しょうがなく追加の焼酎を入れてやるのだった。

 


注がれた焼酎を愛おしそうに呑むリリアンヌを横目に見ながらジャンヌはパケを懐から取り出す。

 


「上物だぜ?」嬉しそうに見せつけるジャンヌ。少量を取り出しドワーフ国製の高級グラインダーで細かく砕く。砕いたマリファナを薄い巻紙の上に置き器用な指使いでぐるぐると巻き上げる。巻き紙の端の糊を器用に舌でペロリと舐め完成だ。

 


完成したジョイントを口に咥え、火を付けゆっくりと紫煙を吸い込み、数秒息を止めてから吐き出す。

 


「あぁ……幸せ」

 


そうしてジャンヌはうっとりとした表情のまま、ジョイントを吸っていく。その様子を見て、リリアンヌは苦笑いするしかなかった。

 


(こいつには勝てないわ)

 


ジャンヌは薬中なのだ。好きな物はマリファナだった。

 


ジャンヌはマリファナを販売しているドワーフ族の売人と懇意になり、マリファナを入手していたのだ。

 


エルフもマリファナを育てているが、エルフはケミカル系の幻覚剤が好きな者が多くマリファナのグレードが低かった。そのためジャンヌのようなヘビースモーカーにとって最高の嗜好品を入手することは出来なかった。ジャンヌは毎日のようにドワーフからマリファナを購入していた。

 


「それで明日の仕事は何だよ……って聞いてるのか?」

 


「んっ? ああ聞いてるぞ、私達の畑を見回るんだろ?」ジャンヌの言葉にリリアンヌはため息をつく。

 


「ちげぇよ、明日の祭りの準備の話だって」

 


「ああそれね」

 


エルフの森では年に一回大きな祭りが行われていた。それは森の外の街との交流会でもあった。街の兵士たちは森の奥深くまで入ってこれないのでやりたい放題ドラッグをキメる年に一度の一大イベントだ。

 


エルフ達の愛してやまないLSDマジックマッシュルーム、メスカリンなどの幻覚薬物を村の外から仕入れる一大イベントだ。この祭り逃すと冬を楽しく越せないので皆必死だ。「今年はどんなブツが来るかな〜」

 


「お前はいつもそればっかりだな」

 


「楽しみなのは当たり前だろうが!」

 


「はいはい」

 


リリアンヌはそう言って芋焼酎を一口飲む。「あれ? なんか甘い匂いがしないか?」

 


「ああ、さっきマリファナの葉っぱ入れたからな」

 


「ああ! なるほど!」

 


二人は同時に、ズズーッと音を立てて焼酎を飲む。

 


「でもよ、そんなに沢山マリファナ持って来て大丈夫なのかよ?」

 


「安心しろ、まとめて買ったから安かったからな」

 


「なら良いけどよ」

 


そう言って二人は笑った。マリファナが効いているのか笑いが止まらなかった。「はははははは!」

 


「はーはははははは!!」

 


二人とも完全に出来上がっていた。

 


「おい、ジャンヌ。そろそろ寝ようぜ」

 


「そうだな、もう遅いしな」

 


そう言ってリリアンヌはロヒプノールを、ジャンヌはケタミンを取り出した。「今日はこれにしとくか」お互い粉状にした睡眠薬ケタミンを鏡の上に乗せてストローで鼻から吸った。

 

 

 

「ああ、お休みなさい」

 


「おう、お疲れ様」

 


そう言ってリリアンヌは部屋の電気を消した。

 


暗い部屋の中で、ジャンヌは楽しげに笑う。

 


「明日は祭りだからな、楽しみにしてなよ」

 


そう言って彼女は目を閉じた。

 

 

 

翌日、朝早くに起きたジャンヌは朝食を済ませて準備を始める。

 


「ジャンヌさん、おはようございます。相変わらず早いですね」

 


宿屋の女将であるマチルダが声を掛けてきた。ジャンヌとは顔見知りであり、気安い仲であった。「まあな、それより頼んでおいたものはできたか?」

 


「もちろんですよ。はい、こちらです」

 


そう言うとマチルダはジャンヌに麻袋を渡した。中には大量の錠剤が詰まっていた。一つパケを開き中の錠剤を覗く。エルフの里で合成したMDMAだ

 


「おおー、結構あるじゃないか。助かるぜ」「上物でしょう?」

 


「違いねぇ」

 


ジャンヌはクスリと笑って麻袋を受け取る。

 


「じゃあな、また頼むわ」

 


「ええ、ご贔屓にお願いします」ジャンヌは荷物をまとめて宿を出る。その足取りは軽く、これから起こる祭りへの期待感が見て取れた。

 


「ふぅ……」

 


ジャンヌは街を出て森の中へと入っていく。木々の間を縫うように進んでいくと、ぽつんとした小さな広場に出た。そこだけ木が無く開けた。特設のレイヴ会場だ。

 

 

 

ジャンヌは少し考えてから、パケを手に取る。

 


「今日の気分は……これだな」

 


ジャンヌはそう呟くと、懐から巻紙とパケ取り出し、巻き紙にマリファナを落とす。くるくると器用に巻き上がりジャンヌ特製のパーティー用の太巻きジョイントの完成だ。

 


先端に火をつけてゆっくりと吸ってみる。

 


「ああ〜〜」

 


久方ぶりのサティバ独特のヘッドハイ感覚にジャンヌはうっとりとする。

 


(ああ、幸せ)

 


ジャンヌは夢中になってマリファナを楽しむ。

 

 

 

「ああ……いいね、最高だ」

 


しばらくすると頭が冴えて来る。脳みそはクリアになり、意識ははっきりしてくる。

 


「よし、始めるか」

 


ジャンヌは目の前にある草むらを見る。そこには小さな妖精族が隠れていた。

 


ジャンヌは彼女達が売人であると気づいた。

 


二人の少女を二往復する。そして目線を合わせる。

 


「あのぉ、私達に何か?」

 


「うん? 『あるかい?』」

 


「何でもあるよ。」

 


「ほほう、じゃあお前らのオススメを教えてくれ。お前らみたいな奴らは大抵のヤクを持ってるからな、そこから選ぼうと思ってな」

 


「ああ、そういうことですか。」

 


そう言って二人はクスッ笑った。ジャンヌは怪しげな顔をしたが、気にせずに話を続ける。

 


「最近だとどんなものが流行っているんだ?」

 


「うーん、ここ最近はコカインやシャブが人気かな?昔ながらのマリファナも人気だよ。」

 


「へぇ、そんなに売れてるのか?」

 


「ええ、そりゃもう入荷したら即品切れよ」

 


「そうか、ならマリファナを1オンス貰おう」

 


「毎度ありぃ」

 


ジャンヌは金を払いマリファナを手に入れる。

 


「これでしばらくは大丈夫だろう」

 

 

 

そう言ってジャンヌは笑った。

 


「お姉ちゃん、こっちだ!」他の売人からも声がかかる

 


「はいはい、今行くから待ってて」

 


そう言って人間の青年ははジャンヌに声をかけた。MDMAの取引の約束があったからだ。

 


「それじゃ、またよろしくね」

 


「ああ、こちらこそ」

 


そう言ってジャンヌはその場を後にした。

 


ジャンヌは満足げに帰路につく。その手には大量の大麻を持ち、懐はMDMAの販売で暖かい。ジャンヌにとって今の暮らしはまさに天職だった。

 


エルフの里で薬物を売っているのは何もジャンヌだけではない。

 


むしろ里では合法的に、積極的に薬物を売り捌いている。エルフは人間よりも遥かに長寿であり、そして長命であるが故に娯楽に飢えている。

 


そんな彼らに麻薬を卸す。これほど儲かる仕事は無い。

 


ジャンヌはニヤリと笑う。

 


(明日は何を売るか……ヘロインはもう売れないしな、次はシャブでも売りつけるか?)

 


そう思いジャンヌは家路についた。

 


「ただいま〜」

 


扉を開けると明かりがついていない。寝静まっているのだろうか。

 


「おい、帰ったぞ」

 


返事はない。

 


ジャンヌは居間へと向かう。そこにはソファーで死んだように眠るリリアンヌ。

 


「なんだ、まだ寝てたのか」ジャンヌは呆れた表情を浮かべた。

 


「まったく、しょうがないな……」

 


ジャンヌはリリアンヌの頭を優しく撫でる。よしよしと何度も優しく撫で続ける。

 


しばらくするとリリアンヌが目を覚ました。

 


「うーん……あれ?ジャンヌ?」

 


「おはよう、リリィ。よく眠れたか?」

 


「ぐっすり寝た。ジャンヌお帰り。遅かったな?」

 


「まあな、ちょっと大きな取引があってな。」

 


ジャンヌは答えた。

 


「そうだ、良いニュースがあるんだが聞きたいか?」

 


「え!?本当!?ぜひ聞かせてくれ!」

 


リリアンヌは飛び起きた。

 


「MDMAが全部売れたんだ!」「おお!すごいじゃないか!!」

 


「ああ、この調子でどんどん売っていくからな」

 


「頼んだぞ!」

 


ジャンヌは大笑いする。

 


「ハッハ、任せとけ」

 


ジャンヌは自信満々に胸を張る。ジャンヌは幸福な煙に包まれていた。今日買ったネタは上物だった。

 


(ああ、幸せってこういう事を言うのね)

 


ジョイント咥えたジャンヌはそう思った。

 

 

 

次の日の朝、ジャンヌはいつものようにブラブラと里を散策する。

 


森に入ると、広場に出た。

 


そこに見慣れない店がある事に気づいた。

 


一人の若い男が店番をしているようだ。

 


「お前誰だ?」

 


男は顔を上げてジャンヌを見る。

 


「いらっしゃい……」

 


「ここは何屋なんだ??」

 


「喫煙具屋だよ」

 


「へぇ、何が売ってる?」

 


「ボングや水パイプ。普通のパイプや巻き紙さ」

 


「ほほう、丁度愛用のボングが割れてたな。1つくれ」

 


「毎度!」そう言ってジャンヌはガラス製のボングを1つ購入した。

 


ジャンヌは新しいボングで早速マリファナを吸いたくなった。

 


家に帰ったジャンヌは戸棚からガラス瓶を出し中からバッズを取り出す、グラインダーで砕く。砕いたバッズをボングの火皿に詰めて火を付ける。

 


ボコボコボコボコ……

 


ジャンヌは深く息を吸う。そしてゆっくりと吐く。

 


鼻腔をくすぐるフルーティーな香り。心地よい浮遊感。

 


もう一服して、ふぅっと大きく白い煙を吐き出す。「これが私の人生」

 


ジャンヌは満足げに笑った。

 


「あぁ、最高だわ。さすがハイグレード……」

 


ジャンヌは幸せなハイの煙の中にいた。

 


コンコン

 


「ジャンヌ?いるの?」

 


「ん?どうした?リリアンヌ?酒でも切れたのか?」「違うよ、もうすぐ狩りの時間だよ」

 


「ああ、そういえばそうだったな。忘れてた!今行くから待ってくれ!」

 


ジャンヌは慌てて着替えを始めた。

 


「待たせたな」

 


ジャンヌはマリファナの副作用で真っ赤な目で現れた。「いや、別にいいけど……大丈夫か?」

 


リリアンヌは心配そうに尋ねる。

 


「ああ、全然問題無い。ちょっと吸ってただけだ。」

 


ジャンヌはマリファナの臭いを振りまきながら答えた。

 


「そっか、なら行こうか」

 


二人は獲物を求めて歩き出した。

 


ジャンヌ達が住むエルフの里ではキノコ採取が盛んである。

 


里の近くにはマジックマッシュルームが生息しているため、重要な幻覚キノコの供給源となっているからだ。

 


今日も幻覚キノコが沢山取れた。二人で手分けをしても十分な取り分だ、ジャンヌはナイフを使って採集した。

 


マジックマッシュルームは乾燥させ薬効成分が失われ無いよう出来るだけ新鮮なうちに乾燥させなければならない

 


そのためには素早く大量に採集する必要がある。

 


二人とも大量のマジックマッシュルームを抱えて家路についた。

 


リリアンヌは家に帰ってから、今日の収穫の整理をする。

 


ジャンヌは居間のソファーで横になる。

 


しばらくするとリリアンヌに声をかけられた。

 


ジャンヌはリリアンヌの方へ行く。

 


リリアンヌは瓶に入った緑色の液体を差し出してきた。

 


アブサン酒だ。ジャンヌは受け取ると一気に飲み干す。

 


苦味とハーブのような香りが広がる。

 


口の中が火傷しそうな度数のアルコールがジャンヌの喉を通り抜ける。

 


(この一杯のために生きている。)

 


ジャンヌはそう思った。

 


リリアンヌはそんな様子のジャンヌを見て微笑む。

 


リリアンヌは居間を後にし、寝室へと戻った。

 


しばらくすると寝巻き姿のままリリアンヌが現れた。その手には何も持っていない。「おい、リリアンヌ……まさかとは思うが……」

 


「うん、お察しの通りだよ」

 


リリアンヌは妖艶な笑みを浮かべる。

 


「ああ、分かったよ。」

 


ジャンヌはそう言うと戸棚からLSDを1枚取り出した。「準備するからちょっと待ってろ」

 


ジャンヌは部屋に戻ると、リリアンヌと共にLSDを口に入れ舌下に置いた。

 


1時間ほど経つと視界が歪み、光が曲がり、時間の間隔が無くなり、自分と宇宙が混ざり合った。ジャンヌはバッドに入らないように、必死に堪える。

過去と未来が混ざり合った。光り輝く過去の自分が見える気がした。やがて気分は最骨頂に達してベッドの上でピョンピョン跳ねた。目の前にある枕が大きく口を開けていた。窓の外は凄い勢いで昼夜が何日も過ぎ去っていった。意識を向けるとそこは宇宙だった。サイケデリックの世界に再び入った。二人はトリップを楽しんだ。

 

 

 

いつの間にか朝になっていた。

 


部屋の床にはマリファナの吸殻や空のパケが落ちている。窓の外からは小鳥たちのさえずりと村人の声が聞こえる。

 


隣を見るとリリアンヌはいなかった。

 


ジャンヌはまだ疲れの残る体を無理やり起こす。テーブルの上に置かれた手紙を見つける。

 


マリファナが欲しかったら来てね』

 


「ふっ」

 


ジャンヌは笑い声を上げた。

 


ジャンヌは外に出ると村の中心部へ向かう。

 


途中すれ違った村民から話しかけられる。

 


「おはようございます」

 


「おう」

 


「今年のキノコはどうですか?」

 


「まあまあかな」村人の瞳孔は開き切っていた。「あんまり食べ過ぎない方がいいぞ」

 


「そうですかね?」村人は嬉しそうな顔をして去っていく。

 


ジャンヌは目的地に着く。

 


そこは村長宅の裏手にあった。

 


そこにはマジックマッシュルーム大麻の栽培所があった。

 


エルフ達は定期的に栽培所に集まり、収穫物の確認を行うのだ。中には数人のエルフがいた。

 


「おお、来たかジャンヌ」

 


村長が出迎えてくれた。

 


「どうも、昨日のキノコどうでした?」

 


ジャンヌはマジックマッシュルームのことを聞いてみた。

 


「最高だったぜ!お前さんもどうだい?」

 


「いえ、私はは遠慮します。昨日キメたばかりなので。」「そうかじゃあまた後でな!」

 


村長は他のエルフの元に行く。

 


「どうだ?捗っているか?」

 


「ええ、順調ですよ」

 


エルフたちはマジックマッシュルームを栽培している。

 


マジックマッシュルームはその性質上、エルフ達の住む密林の中の物が最高級品されている。成分のシロシンやシロシビンの保有量が多く上物が栽培できるのだ。また、里の周りに生えている精神作用のある植物も薬効成分の含有率が高いため重宝していた。

 


収穫量は年々増えており、エルフの里では様々な種類のドラッグが栽培されていた。

 


ジャンヌは彼らの仕事ぶりを横目にしながら奥へと進む。

 


一番大きな小屋に入る。中に入ると一人のエルフが作業をしていた。彼はジャンヌの姿を見るなり顔を上げニヤッとした。

 


「よう!ジャンヌ今日は何にするんだい?」

 


「そうだな……」ジャンヌは少し考える素振りを見せたあと、小瓶を手に取ると彼に渡す。中のはドロドロの液体が入っている。ペヨーテだ。

 


「これなんかいいんじゃないか?」「これは何に使うんですかい?」

 


「ペヨーテさ、幻覚サボテンをすり潰した物だ。」「へぇーこれがねぇ」

 


エルフは瓶を少し見つめて一気に飲み下す。

 


彼の顔が青ざめていく。そして、次第に笑顔になる。「こいつは良い、光が輝いて見えるぜ!」

 


「だろう?私ももこいつが好きだ。」

 


ジャンヌは思わず嬉しくなる。このペヨーテはジャンヌが手塩にかけて育てたサボテンだ。成長まで30年掛かった努力の逸品だ。「ところでジャンヌ、例の話だが。」

 


エルフは神妙な面持ちでジャンヌに語りかける。

 


「ああ、そっちはどんな具合なんだい?」ジャンヌは答える。

 


「こっちは準備万端、いつでも始めれるよ。」「そうか……私達ももうすぐ準備ができる。」

 


「ああ、楽しみだよ。」

 


ジャンヌは笑みを浮かべながら答えた。

 


その時遠くから声が聞こえた。

 


「大変だあ!!ジャンヌ!!」

 


村長だった。

 


ジャンヌは駆け足で向かう。「どうしました!?」

 


「人間が攻めてきた!」

 


「人間?どこの連中で……まさかあのクソ野郎共が来やがったのか!」

 


「くっそぉおおお!間に合わねえ!」

 


ジャンヌは拳を強く握り締める。

 


「まだ諦めるな!芥子畑を守るんだ!!」

 


エルフの森の外貨獲得手段は少ない。芥子から精製されるヘロインは貴重な外貨獲得資源だった。そのため、芥子を栽培する農園の存在は重要だった。

 


「分かりました!すぐに向かいます!」

 


ジャンヌは踵を返す。自宅に戻りマジックポーチを掴む。

 


「村長!案内してくれ、私が相手になろう。」

 


村長は力強く肯いた。

 


「頼んだよジャンヌ!」ジャンヌ達は走り出す。

 


(必ず守る!)

 


その決意がジャンヌの心を支配していた。

 


村を出てしばらく走る。

 


森の入り口が見える。

 


そこには人間の軍が陣を張っている。数は500ほどだろうか。

 


ジャンヌは立ち止まる。

 


目を閉じ深呼吸をする。

 


意識を覚醒させようと決意する。ジャンヌはマジックポーチから小さなパケを取り出した。シャブである。

 


パケを破り耳かきで少量のシャブを取り出し愛用の手鏡に置き闇ギルドのギルドカードで細かく潰しラインを引く。丸めた100ゴルド紙幣で鼻から吸う。

 


ジャンヌの意識が一瞬で覚醒した。目を開きマジックポーチから銃を取り出す。

 


エルフの秘宝たる黒鉄の魔導兵器、扱いやすく、乱暴に扱っても壊れないの優れた異世界の武器である。

 


ジャンヌは数々の修羅場をぐぐり抜けるためにこの銃を使っている。

 


ジャンヌはセーフティを解除する。エルフのみが使える特殊な召喚魔法のお蔭で村では様々な物品を異世界から取り寄せている。その中でも飛び切り凶悪なものがこの銃だ。ジャンヌはこの武器の名前を知っていた。アブトマット・カラシニコフと言うらしい。

 


アブトマットとは異世界の言葉で『連射式の銃』の意単語でありジャンヌの愛用の銃を表している。

 


ジャンヌが銃を構えると兵士が一斉にこちらを見る。ジャンヌの姿を見て動揺が走る。エルフは薬物中毒者だらけの社会で生きている、その事実が兵士の恐怖心を揺さぶる。

 


兵士はジャンヌを指差し叫ぶ。「魔女だ!」「悪魔だ!」「ドラッグクィーンだ!」

 


兵士たちが騒ぎ出す。ジャンヌはニヤリと笑うと引き金を引いた。

 


3発の乾いた音が響き渡る。

 


その銃弾は全て兵士に命中していた。ジャンヌはそのまましゃがみ込みストックを肩に当て狙いを取る。兵たちがどよめく。止まらない発砲音が続く。

 


ジャンヌは素早くマガジンを交換する。そしてまた発砲。

 


この行為には二つの意味がある。一つは逃げる敵への威嚇射撃、もう一つは自分が殺したという快感を得るため。

 


マガジンが空になった。ジャンヌはスライドストップを解除しスライドオープンにする。そして装填されていた最後の一発を撃ち込んだ。

 


再び轟音が鳴り響く。弾丸は兵士達を貫いていった。

 


ジャンヌは立ち上がり振り返りながら言う。

 


「私は魔女じゃない、エルフだ!!!」

 


そう言い残し、その場を去った。

 

 

 

その頃、エルフの里は大混乱に陥っていた。人間が攻め込んできたのだ。

 


エルフたちは銃器を手に取ると、弾丸を込めて銃を放つ。

 


しかし、人間達は恐れることなく突っ込んでくる。

 


「怯むなぁああああ!!」「やっちまえぇええ!」

 


人間達が雄叫びを上げる。

 


エルフ達の使う銃器は異世界製の武器で破壊力がある。威力も高く連射も出来る。兵士たちは破裂したり四肢がバラバラになった。それでも人間達は全く引く様子を見せない。

 


エルフは戦慄していた。

 


「化け物め……」

 


エルフの一人が呟く。

 


その時一人の人間が叫んだ。「俺は勇者だぞ!お前らは降伏しろ!」

 


すると周りの人間が呼応する。

 


「うるせえ!!死ね!!」リリアンヌが『スティンガー』と呼ばれる大型魔道兵器を放つ。

 


ロックオンされたミサイルはマッハ2.2の速度で勇者を文字通り消滅させた。

 


「黙れクソボケがァア!!」ジャンヌは『スナイパーライフル』と呼ばれる狙撃用の銃で的確に敵の頭を打ち抜いていた。

 


「ひぃいい!?」

 


人間の兵士たちは震え上がる。

 


「なんだあのバケモノ共は……!?」

 


一方的な殺戮に兵士達はなす術が無かった。

 


兵士たち走り去るのを見たエルフ達は勝鬨を上げる。

 


「我らの勝利じゃあ!!!」

 


エルフたちの勝利宣言と共に歓声が上がる。

 


里の中央広場で宴会が始まった。

 


エルフにとって薬は酒の一種、エルフにとっては大麻など日常茶飯事である。

 


アルコール摂取量が世界一多いのがエルフなのだ。

 


エルフ達は酒をガブ飲みし、シャブでを打ち、コカインを吸い、マリファナで酔いしれた。エルフたちにとってこれが当たり前。だから今日もいつも通りだった。

 


しかし、今日のエルフは一味違った。

 


宴の中心にいたのはリリアンヌとジャンヌであった。

 


二人はまるで泥酔しているかのようにフラついていた。

 


そんな二人を見てエルフたちが心配する。「どうしたんじゃ?体調が悪いのか?」

 


ジャンヌが答える。

 


「ヤクが効きすぎてるだけだ……」

 


「そうかそうか……ジャンヌ大丈夫か?」

 


「俺はまだいけるぜ……それより、みんな聞け!」

 


ジャンヌが声を張り上げる。

 


エルフ全員が注目する。

 


「俺たちエルフがこんな情けないザマで良いと思ってんのか!?テメエらシャキッとしやがれッ!!!」

 


エルフが立ち上がる。

 


エルフの里のエルフ全員の声が重なる。

 


「そうだぁああ!!!!」

 


ジャンヌが叫ぶ。

 


「エルフはドラッグ漬けなんかで終わらねえ!!ドラッグ依存から抜け出してやるんだ!!その為にもまずはドラッグ耐性をつける為の訓練を開始する!!」

 


エルフたちが叫ぶ。

 


「おうっ!!!」

 


こうして、エルフの里ではドラッグ使用訓練が開始された。ジャンヌとリリアンヌは自室に籠もり、様々な薬物を使用した。

 


ジャンヌが部屋に入ると、そこには大量のジャンキーがいた。

 


「さて、始めるぞ野郎ども!!」

 


ジャンヌの掛け声とともにエルフ達はドラッグを吸引し始める。

 


「うげええええええ!!!」

 


強烈な薬物カクテルで思わず嘔吐する者も多かった。

 


ヘロインにマリファナ、コカインにヘロイン、覚醒剤LSD。どれもこれも強烈なチャンポンだ。部屋の空気はツンとした刺激臭を感じるだろう。

 


エルフ達は涙目になりながらも必死に薬物を摂取し続ける。

 


この地獄のような時間が一週間続いた。

 


そしてついにその時が来た。

 


ジャンヌとリリアンヌはお互いに見つめ合うと、お互いの手を取り合った。

 


「やったわね」「ああ、やったな」

 


エルフ達の体は薬物への高度な耐性を獲得していた。立派な薬物依存症だ。だが、エルフ達の表情には達成感があった。

 


「よし、次は精神修行だ!これは一番キツイぞ」

 


ジャンヌは言った。

 


「ああ!」

 


エルフたちは同意する。

 


翌日からエルフの精神修行が始まる。

 


エルフは昔から自然信仰が強い種族だ。エルフのシャーマンはペヨーテを飲み神の信託を受け、敬虔な信者はマリファナを吸引する前に自然への感謝を忘れない。

 


美しい自然に囲まれたエルフの森はドラッグをキメる最高の環境だった。

 


エルフは森へ繰り出した。エルフは森の中を歩き回る。ジョイントを咥えながら。

 


木漏れ日を浴びながら清々しい風を感じながらジャンヌとリリアンヌはジョイントを回し吸いする。「はぁ〜〜〜」

 


「はあー」

 


「気持ちいいわねぇ」

 


「最高だ」

 


「幸せぇ」

 


「エルフに生まれてきて良かった」

 


「ほんとよぉ」

 


二人は笑いあった。

 


「私達すっかりジャンキーよねぇ」

 


「ああ」

 


「もう引き返せない所まで来ちゃったわ」

 


「戻れないなら進むしかない」

 


「そうよね」

 


「私はお前の事をずっと守ってみせる」

 


「あら嬉しい。じゃあ私はあなたの事を守ってあげるわ」

 


「ああ、頼む」

 

 

 

二人の関係はより深くなったように感じられた。それはクスリせいだがエルフ族がシラフの時は少ない。二人は幸せだった。二人はずっと幸せだった。

 

 

 

今日も明日も明後日もエルフの森はラヴ & ピース

 

 

 

〜END〜